前編では静岡県の空き家の現状から売却することのメリットの話をさせて頂きました。
今回は売却を成功させる方法と売却以外の活用方法、静岡県での空き家や空きビルの改修事例を
挙げさせて頂きます。
空き家売却の手続きと成功のポイント
静岡県内で空き家を売却する際の手続きは、基本的には他の地域と大きく異なるわけではありませんが、
地域特有の事情や市場の動向を考慮することが重要です。
ここでは、空き家売却の一般的な流れをステップごとに解説します。
静岡県での空き家売却手続きの流れ
売却前の準備
売却を決めたら、まずは空き家の現状を把握することが重要です。
確認すべき事項には以下のようなものがあります。
【確認事項】
・建物の劣化状況: 売却をスムーズに進めるため、事前に建物の老朽化や必要な修繕箇所を把握しておきましょう。
・不要物の整理: 家具や家財が残っている場合、売却前に処分する必要があります。
・法的問題の確認: 相続登記が完了しているかどうかも重要なポイントです。相続が複雑な場合、専門家に相談することが推奨されます。
・必要書類の準備: 売却に必要な書類(登記簿謄本、建築確認済証、検査済証など)を確認し、準備を整えましょう。
特に静岡県では、古い建物が多く、耐震性や断熱性に問題がある場合も少なくないため、
これらをチェックしておくことが求められます。
また、自治体によっては空き家の利活用に関する補助金制度があるため、
事前に確認しておくと良いでしょう。
不動産会社の選定と査定依頼
売却の次のステップは、不動産会社に査定を依頼することです。
特に静岡県では、地域ごとの特性や市場の需要を把握している不動産会社を選ぶことが重要です。
複数の会社に相談して、査定額を比較するのがおすすめです。
地域の古い不動産会社だからといって、必ずしも最適とは限りません。移住者が増えている今、
県外からの購入希望者にもリーチできる不動産会社を選ぶのがポイントです。
また、物件の写真撮影や丁寧な物件紹介を行ってくれる会社を選ぶことで、売却成功の確率が高まります。
不動産会社の選定では、地域の空き家バンクへの登録も検討すると良いでしょう。静岡県内の多くの自治体が空き家バン
クを運営しており、移住希望者や地元住民に広く物件をアピールすることができます。
静岡県内でも、地域によっては需要と供給のバランスが異なるため、複数の会社に相談し、
査定額を比較することをおすすめします。
査定は無料で行ってくれますので、物件の特徴や立地、周辺環境を考慮した評価を受け判断することが出来ます。
売却活動の開始
査定額に納得した後、いよいよ売却活動を開始します。このステップは、成功する売却のために非常に重要です。
まず、売却価格を慎重に決定し、不動産会社に物件情報を広告やウェブサイトに掲載してもらいます。
静岡県の空き家問題に関連して、ターゲットとなる購入希望者にしっかりと情報を届けることが成功への第一歩です。
不動産会社は、物件の写真撮影や詳細な説明文の作成を行うことが多いため、
プロモーション効果を最大限に引き出せるでしょう。
しかし、所有者としても必ず確認すべき点があります。
特に、次のようなポイントをしっかりとチェックしてください。
【物件掲載チェックポイント】
・物件の情報が適切に掲載されているか:
建物の劣化状態やリノベーションの有無、法的な問題など、伝えたい重要な情報が十分に説明されているかどうかを確認します。
・写真のクオリティ:
外観や内装の写真が適切に撮影されているかをチェックします。
購入者は視覚的な情報に大きく影響されるため、魅力的な写真は欠かせません。
たとえば、情報が不足している物件や、外観や内装の写真がほとんどない物件は、
購入希望者からの問い合わせが減る可能性があります。さらに、周辺施設の写真ばかりで
建物自体の写真がほとんどない物件は、購入希望者に不信感を与えることもあります。
このような場合、空き家の売却が遅れることが考えられます。
また、売却活動を進める中で一番購入可能性が高い人々は、実は近隣住民であることが多いです。
・娘が帰省する予定があるため、近くで家を探していた。
・家の近所で事務所や作業場を探していた。
こういった事情で、近所の方が購入希望者となることが少なくありません。
地域密着型の販売戦略として、近隣の住民に物件の情報を提供することは、
売却を早期に成功させる一歩となります。知り合いに声をかけたり、チラシを配布するなどして、
積極的にアプローチを図ることも検討すると良いでしょう。
このように、物件情報の確認と地域の購入希望者へのアプローチを適切に行うことで、
静岡県における空き家売却の成功率を大きく高めることができます。
契約の締結
買主が見つかったら、契約の準備を進めます。
契約書の内容をよく確認し、必要な手続きや条件についても理解しておくことが重要です。
この段階では、専門家(弁護士や司法書士など)に相談し、法的リスクを避けるようにしましょう。
特に、相続登記が済んでいない場合や、複数の相続人がいる場合には注意が必要です。
引き渡し
最後に、物件の引き渡しを行います。契約内容に基づき、買主に物件の鍵を渡し、名義変更の手続きを完了させます。
この際、建物や土地に問題がないか最終確認を行い、問題が発生しないように注意します。
空き家売却を成功させるための重要なポイント
空き家を成功裏に売却するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
適正価格での売却
売却価格は、買主が納得しやすい適正価格を設定することが重要です。
過度に高い価格を設定すると、売却が長期化し、結果的に価格を下げざるを得なくなる可能性があります。
一方で、低すぎる価格設定も損失を生む原因となるため、
査定結果をもとに適切な価格を決定することが求められます。
静岡県内では、地域によって需要が異なるため、現地の市場動向をしっかりと把握することが肝心です。
正直なところ空き家バンクに掲載されている空き家は高いことがほとんどで、
写真にもこだわっていない写真が多いため、買う方の目線で掲載をすることが重要です。
売却前のリフォーム・修繕
空き家の状態によっては、売却前にリフォームや修繕を行うことで、売却価格が上がる場合があります。
特に、耐震性や断熱性の向上が必要な物件では、これらの改善を行うことで買主の安心感を高めることができます。
リフォームには費用がかかるため、その投資がどの程度の利益をもたらすかを見極めることが重要です。
ただ1つ気を付けたいことが、空き家はリフォームしたからと言って金額が上げられるわけではありません。
よくあるパターンとして水回りの設備だけ綺麗にされることもありますが、購入希望者の好みもあるため、
それであればそのまま売却し希望があれば水回り設備代ぐらい減額してあげる心づもりで
募集する方がお客様側に選択肢を与えることになり、売却の幅が広がります。
その他にも行政の移住を担当している課、空き家問題に取り組んでいる課に相談しに行くのも良いでしょう。
不動産会社だけに頼らず、幅広いネットワークを使い、早期売却を狙うことをオススメします。
空き家の活用方法と売却以外の選択肢
多くの方は、空き家を手放す際に「売却」しか選択肢がないと考えがちです。
しかし、実は他にもいくつかの効果的な活用方法があります。
もちろん、売却以外の方法には、管理や手続きが必要になる場合もありますが、
その一方で毎月コンスタントな収入源を得ることが出来る可能性も広がります。
ここでは、売却以外の選択肢をいくつかご紹介します。
賃貸として貸し出す
古い空き家でも、賃貸に出すことで収入を得られる可能性があります。
特に地方では、アパートやマンションに住むよりも一戸建てに住みたいという需要が、
依然として存在しています。
例えば、家族が増えたタイミングで一戸建てに引っ越したいというニーズや、
アパート生活で騒音などのトラブルがあり不満を感じた住人が戸建てを希望するケースがあります。
また、静岡県内では少子高齢化により管理されていないアパートやマンションも増えているため、空き家を活用することで新たな需要を取り込むことができるかもしれません。空き家がある地域の需要を確認し、賃貸として貸し出すことを検討してみる価値は十分にあります。
賃貸してから売却
もし空き家の売却がすぐに決まらない場合、一時的に賃貸で運用し、その後「投資用物件」として売り出す方法もあります。賃貸物件として一定の収入を得ることができれば、投資家にとって魅力的な物件となり、売却のチャンスが広がります。
現在様々な投資が注目されており不動産投資は特に注目されています。
都内ではワンルームマンション投資が流行っていましたが、利回り低かったり、
結局は毎月マイナスになっており、悪質なものも多いため、
地方の空き家投資となると利回りが10%以上確保できるというので
一部の投資家の間では流行っています。
たとえば、月額6万円で貸し出せた場合、年間72万円の収入が得られます。
この場合、利回り15%の条件で物件を販売するなら、480万円での売却が可能になるかもしれません。
このように、収益物件として売りに出せば、実際に住もうと思っている人ではなく
投資をする人が購入してくれる可能性もあります。
ただし、この方法には賃貸期間中の管理や修繕などの責任も伴うため、十分な準備と管理が必要です。
これはずっと売却の募集を出しているけれど決まらない時に有効な選択肢です。
事務所や店舗として貸し出す
「空き家を事務所や店舗として貸し出すのは難しいのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、
実は地方でも需要があります。
例えば、地方都市では駅前の賃料が高騰しているため、小規模なビジネスを始めたい人たちが安価な物件を求めています。
賃料を5万〜7万円程度に設定し、初期費用を抑えることで、
スモールビジネス向けの事務所や店舗としての需要を引き出すことが可能です。
特に、地元で起業を考えている人に声をかけるなど、積極的にアプローチをすることが成功のカギとなります。
行政や空き家を活用したい会社へ貸し出す
近年では、行政や企業が空き家を活用するケースも増えています。
例えば、地方自治体が移住促進のために「お試し移住施設」として空き家を提供するプロジェクトや、
シェアハウスやコワーキングスペースとして空き家を再活用する企業も多く見られます。
北海道の事例では、行政と企業が連携して空き家を移住希望者向けに提供し、地域活性化を図る取り組みが行われています。静岡県でも同様の取り組みが進んでおり、空き家を有効活用するチャンスが増えています
北海道事例:清水町(行政)×Airbnb(民泊)×株式会社良品計画(無印良品)が連携して
お試し移住出来る空き家として活用されています。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000123.000016248.html)
このように自分の住んでいたところを行政に貸し出して地域のために利活用してもらうといった例も出てきています。
また空き家を活用して、シェアハウスやコワーキングスペースなど人が集まる場所を作るような会社も増えています。
こういった貸し方の特徴としては基本的には所有者は固定資産税ぐらいの料金で年間貸し出すというのが特徴です。
最後に
空き家の売却以外にも、さまざまな選択肢があります。賃貸や事務所としての活用、行政や企業との連携を検討することで、空き家を収益源や地域活性化の拠点として活かすことができるかもしれません。売却を急がず、広い視野で活用方法を考えてみましょう。
静岡県で空き家、空きビルを活用した改修(リノベーション)事例の紹介
静岡県三島市 「ワーカーズリビング三島クロケット」
築60年の空きビルを改修したコワーキングスペース。
この施設では、利用者と地域をつなぐ「家守」(コミュニティマネージャー)が常駐し、
地元の暮らしやアクティビティを紹介することを特徴としています。
コワーキングスペースに加えて、短期滞在向けのレジデンスもあり、
地方移住を検討している人に三島での生活を体験できる場を提供されています。
静岡県伊豆の国市「暮らしを創る家 soco」
一日一組限定の貸切宿。オーナー夫妻がセルフリノベーションした増築別棟の滞在スペースは、玄関、シャワー、トイレ、キッチンが独立しており、プライバシーが保たれています。
バックパッカーとして22カ国を旅した夫妻が、2020年からDIYでリノベーションを行い、2022年から宿の運営を開始しました。ゲストに「暮らすように泊まる」体験を提供されています。
静岡県沼津市「Antique door」
1階は、創業希望者向けのチャレンジショップ。
2階には、『Antique door』の事務所と会員制のコワーキングスペースがあります。
コワーキングスペースは、イベントスペースや撮影の場としても活用されることがあるそうです。
静岡県静岡市清水区蒲原「まち泊 456」
築50年の町家をリフォームした一棟貸しの古民家宿。
町家の造りは残したまま、歴史的な古民家とモダンが融合した空間で、非日常的な時間を味わえる。古き良き面影を残す東海道15番目の「蒲原宿」の活性化プロジェクトの1棟目
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