静岡県では空き家問題が深刻化しており、人口減少、高齢化、都市部への移住が主な課題とされています。
特に地方部では、後に相続管理されず放置されるケースが増加し、老朽化した空き家が防災・防犯上のリスク
また、所有者不明の物件も多く、行政による対策が困難な状況です。
そんな空き家問題に関連する相隣関係の民法が2023年4月1日に改正されました。この民法改正は特に近隣の住民同士のトラブルを解決しやすくするためのルールを明確にしたものです。また放置された空き家の問題も増える中で、この法律の変更は私たちの暮らしに深く関係しています。相隣関係で悩んだことはないですか?本記事では、相隣関係とは何か、どうして法律が変わったのか、空き家問題との関係について初心者にもわかりやすく解説します。
相隣関係とは?
「相隣関係」とは土地や建物が隣り合うことで発生する問題について住民同士が守るべきルールのことです。例えば次のような問題が含まれます。
- 隣の家の木の枝が自分の敷地に伸びてくる
- 隣の土地からの排水で自分の家がぬかるむ
- 隣の建物が日光や風を遮る
このような問題が発生すると、住民同士で解決しなければなりません。しかし、話し合いがうまくいかない場合に、どちらに責任があるのかを決めるためのルールが「相隣関係」に関する法律です。
なぜ民法改正されたのか?
(1) トラブルが増えている
近年、様々な要因で土地や建物の境界をめぐるトラブルが増えています。特に次のような状況が原因となっています。
- 高齢化:自分で土地や建物を管理できない高齢者が増えています。
- 相続:土地や建物が相続で分割され、所有者が複数になってしまう。
- 空き家の増加:誰も住んでいない家が放置されることで、近隣の家に迷惑をかけるケース。
(2) 空き家問題が深刻化
空き家は誰も住んでいないため管理が行き届かず、木が伸び放題になったり、家が壊れて隣の土地に影響を与えたりします。
また空き家の所有者が不明なこともあるため日本社会の大きな問題になっています。
このようなトラブルが増えたことで、法律を改正して対応を明確にする必要が出てきました。
新しい民法ではどう変わったの?
2023年4月1日の民法改正では、特に相隣関係に関わる以下の点が明確化されました。
(1) 木の枝や根の処理が明確に
民法改正前は隣の家の木の枝や根が伸びてきた場合、どうすればいいか分からない人が多かったのですが、今回の改正で次のように整理されました。
- 木の枝:隣地に伸びている木の枝はまず所有者に切るようお願いする必要があります。
自身の私有地に木の枝が伸びてきて迷惑でも自ら切ることはできません。
ただし、下記の①~③のいずれかに該当する場合は自ら木の枝を切ることができます。
①催告後、木の所有者が相当期間内に切除しないとき
②木の所有者または所有者の所在を知ることができないとき
③急迫の事情があるとき - 木の根:地面に伸びてきた木の根については、所有者の許可なく自分で切ることが可能です。
(2) 境界トラブルの解決が簡単に
土地の境界をめぐるトラブルについて、これまでは解決が難しい場合が多かったですが、改正後は裁判所が簡易な手続きで判断できるようになりました。
(3) 空き家問題への対応
空き家の所有者が分からない場合や連絡が取れない場合についても、行政が介入しやすくなり、近隣住民の安全や生活環境が守られる仕組みが整えられました。
空き家問題と民法改正の関係
(1) 空き家が隣の家に与える影響
空き家は次のような問題を引き起こします:
- 木が隣の敷地に伸びる:枝や根が越境し、隣家の景観や安全に影響。
- 倒壊のリスク:老朽化した建物が隣家に倒れ込む可能性。
- 害虫の発生:放置された空き家が害虫や動物の住処になる。
これらの問題は隣人同士のトラブルの原因となり、解決が難しいケースも多いです。
(2) 改正後の空き家対応
民法改正により、空き家の所有者が木の管理を怠っている場合、隣人が枝や根を切る権利が明確になりました。また、行政による空き家の管理が強化されることで、隣人が一人で問題を抱え込む必要が減ると期待されています。
困ったときの対応方法
相隣関係や空き家の問題に直面した場合、次のステップを試してみましょう。
- まずは話し合い: 隣人と直接話し合い、問題を解決できるか試みます。木の枝や根の切除などは、所有者が対応するのが基本です。
- 自治体に相談: 空き家や管理放棄された土地の問題は自治体の窓口に相談することで解決の糸口が見つかる場合があります。
- 法的手続きの検討: 話し合いがうまくいかない場合や所有者が不明な場合は、法律を活用して解決する方法を検討します。弁護士や司法書士に相談するのも有効です。
まとめ
2023年4月1日の民法法改正により、隣同士のトラブルを解決するためのルールがより分かりやすくなりました。特に空き家問題が深刻化する中で適切な対応が求められる時代になっています。
「隣人トラブルなんて自分には関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、隣の空き家や敷地が自分の生活に影響を与える可能性はゼロではありません。トラブルが起きる前に法律を知り、万が一の時には適切な対応をする準備をしておきましょう。
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