島田市の空き家は、売却や解体だけでなく、建物の状態や立地によっては賃貸や事業用途で活用する方法もあります。vol.3では、DIY型賃貸、事務所・店舗、レンタルスペース、民泊の4つについて、それぞれ向いている物件と確認したい条件を整理します。
vol.1では島田市の空き家の実態を、vol.2では売却・賃貸・解体の選択肢を解説しています。所有を続けるか迷っている場合は、まずvol.2で選択肢を比較してみてください。
大まかな向き不向きは次の通りです。
| 活用方法 | 検討しやすい状態 | 先に確認したいこと |
|---|---|---|
| DIY型賃貸 | 住宅として引き続き使える状態 | 借主に認める工事範囲、原状回復の扱い |
| 事務所・店舗 | 駅や幹線道路に近く、人の動きがある立地 | 用途地域、建物用途、消防設備 |
| レンタルスペース | 立地を選びにくいが、駐車場があると有利 | 飲食提供時の許可・届出、料金体系 |
| 民泊 | 観光資源に近く、住居専用地域外にある | 住宅の要件、県への届出、180日上限、曜日制限 |
vol.1で見た通り、島田市は旧市内・金谷・川根・伊久身・六合・初倉の6地域で人口動態や街の性格が異なります。駅前に近い旧市内・金谷は事務所やレンタルスペースの需要を見込みやすく、住居専用地域が少ない郊外・中山間地域では、民泊の曜日制限がかかりにくいケースもあります。ただし用途地域は同じ地域内でも一様ではないため、個別の確認が欠かせません。
島田市の空き家をDIY可能型賃貸で募集してみる
実際に島田市内の募集物件を見ていると、一戸建ての賃貸物件はここ数年で増えてきましたが、築年数の古い建物が多く、賃料は4万円台〜5万円台が中心という印象です。一方で、6万円・7万円台まで出せる、状態の良い一戸建てはまだ少なく、私自身は狙い目の募集レンジだと感じています。10万円を超えると、島田市の相場としては高めに受け取られやすくなります。一戸建てはDIY不可の物件が多いため、この価格帯でDIY可能型として募集すれば、他の物件との差別化がしやすくなります。
戸建てを賃貸する方法のひとつに「DIY型賃貸借」があります。国土交通省もDIY型賃貸借の普及に取り組んでおり、契約書式例やガイドブックを公開しています。
DIY型賃貸で進める場合、契約前に決めておきたい内容の例は次の通りです。
- どこまで借主が変更できるか(壁紙・床材など)
- 事前承諾が必要な工事は何か(壁を抜くなど躯体に関わる工事など)
- 工事費を誰が負担するか
- 退去時に原状回復するのか、そのまま残すのか
借主が自由に変更できる範囲と、業者による施工が必要な範囲を契約前に明確にしておくことが、入居後のトラブルを防ぐポイントです。国土交通省のガイドブックには契約書のひな形も掲載されているため、初めて取り組む場合は参考にすると進めやすくなります。工事の範囲や原状回復の扱いを曖昧にしたまま貸し出すと、退去時に「どこまで貸主の負担で直すのか」でトラブルになりやすいため、契約書に具体的に書き込んでおくことが重要です。
島田市の空き家を事務所・店舗で貸し出す
実際の反響を見ていると、パーソナルジムやヨガスタジオ、鍼灸院といったクリニック系の需要はまだあります。ただし賃料が10万円を超えると、問い合わせの反応がぐっと薄くなる印象です。もう少し賃料の低い4万円・5万円台の帯では、ネイルサロンなど個人サロン系の需要もありますが、この価格帯を希望する方は内装に費用をかけない傾向があるため、もともと状態の良い空き家であることが条件になりやすいです。
住宅を事務所や店舗として貸し出す発想もありますが、空き家だからといって、そのまま事務所・店舗として使えるとは限りません。用途地域や建物の用途、消防設備などの確認が必要で、飲食店や美容系店舗など業種によって必要な許認可も変わります。募集を始める前に、用途として使えるかどうかを確認しておく必要があります。
既存内装をどこまで残すか、駐車場を確保できるか、希望する業種に必要な設備を設置できるかによって、貸し出しやすさは変わります。住宅として使っていた建物の場合は、事業用途へ転用するための工事費も含めて検討する必要があります。業種によっては駐車スペースの有無も検討材料になります。
用途変更と確認申請
建築基準法上は、用途変更後の部分の床面積が200㎡以下であれば、確認申請そのものは不要です(2019年の法改正で100㎡から200㎡に引き上げられました)。多くの戸建て空き家はこの範囲に収まりますが、確認申請が不要でも、用途地域や消防法など関連法令を守る義務がなくなるわけではありません。この点は誤解されやすいので、契約前に確認しておくと安心です。
レンタルスペース・キッチンスタジオとしての貸し出し
レンタルスペースは、月単位で1人に貸すのではなく、時間単位・日単位で複数の利用者に貸し出す方法です。教室、撮影、会議、サロンなど、建物の広さや設備に応じて用途を設定できます。
飲食の試験営業、教室、サロン、撮影など、利用目的に応じて貸し方を設定することもできます。ただし、キッチン設備を使って飲食物の提供や製造を行う場合は、営業内容によって保健所への許可申請や届出が必要になることがあります。初期投資の規模や必要な許認可を確認したうえで、選択肢のひとつとして検討してください。
民泊としての活用
島田市には富士山静岡空港や、大井川鐵道のSL(蒸気機関車)といった観光資源があります。島田市の観光戦略プランでも、富士山静岡空港を活用した海外からの誘客などが掲げられており、こうした観光施策も踏まえ、立地によっては宿泊用途を検討する余地があります。
なお、すべての空き家が住宅宿泊事業法による民泊に使えるわけではありません。台所・浴室・便所・洗面設備などを備え、法律上の「住宅」の要件を満たしたうえで、静岡県への届出が必要です。住宅の要件を満たさない場合は、旅館業法に基づく許可が必要になることがあります。
住宅宿泊事業法に基づく民泊には、年間180日以内という営業日数の上限があります。さらに静岡県では、所在地によって営業できない曜日が条例で定められています。
| 制限区域 | 対象 | 制限される期間 |
|---|---|---|
| 学校等の周辺100m以内 | 幼稚園、小中学校、高等学校、高等課程のある専修学校、外国人学校、認可保育園、認定こども園 | 月曜〜金曜(祝日・学校等の休業日を除く) |
| 住居専用地域 | 第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域 | 月曜〜金曜(祝日を除く) |
制限期間は暦日単位で定められており、県は「土曜日の夜1泊」の利用例を示しています。自分の物件がどの用途地域にあたるかは、島田市わが街ガイドでおおよその見当をつけたうえで、実際に事業化する場合は都市政策課などで確認することをおすすめします。
実際に営業できる日数の目安
住居専用地域や学校等の周辺100m以内に該当する物件では、月曜〜金曜(祝日・休業日等を除く)は営業できません。1年間の土日はおよそ104日、平日にあたる祝日を加えても、目安として実際に営業できる日数は年間120日前後にとどまります。年によって多少前後しますが、180日の上限まで使い切れないケースが多いということです。曜日の制限がかかる立地かどうかは、民泊の採算を左右する大きな要素になります。
年間180日の上限や区域ごとの曜日制限があるため、実際に営業できる日数を前提に収支を確認する必要があります。
まとめ
島田市の空き家は、DIY可能型賃貸、事務所・店舗、レンタルスペース、民泊など、手放さずに活かす方法もいくつかあります。どれが向いているかは、立地や建物の状態、必要な許認可によって変わります。
vol.1では空き家の実態を、vol.2では売却・賃貸・解体の選択肢を解説しています。島田市の空き家をどう活かすか迷っている場合は、お気軽にご相談ください。

