静岡県島田市で空き家について調べている方に向けて、このシリーズでは島田市の空き家の実態と、売却・賃貸・解体・活用の選択肢を整理していきます。vol.1となる今回は、まず島田市の人口や高齢化の状況、空き家がどれくらいあるのか、地区によってどう違うのかを、公表されているデータをもとに押さえます。
島田市の人口・高齢化の状況
島田市の人口・高齢化
後期高齢化率(75歳以上の割合)は17.4%です。
島田市の都市計画関連資料では、国勢調査ベースの人口は1990年(平成2年)の103,143人をピークに減少に転じたとされています(2005年以前は合併前の旧市町の人口を合計した数値です)。市の総合計画では、令和15年(2033年)時点の目標人口を約91,000人としています。
およそ3人に1人が65歳以上で、後述する所有者アンケートでも「居住者の死亡・施設入所・入院」が空き家になったきっかけとして多く挙げられており、高齢化と空き家の問題を切り離して考えにくい状況があります。
島田市の空き家、どれくらいある?
住宅・土地統計調査ベース
全国平均13.8%、静岡県平均16.7%より低い水準です。平成30年調査の11.5%から、2018年〜2023年にかけて0.7ポイント上昇しています。
4,940戸と944戸、どちらが正しい?
この記事の後半で紹介する島田市独自調査の「944戸」とは数字が異なります。4,940戸は住宅・土地統計調査による推計値で、共同住宅の空室なども含む市内全体の空き家が対象です。一方の944戸は、市内の戸建て住宅・併用住宅のうち、別荘や賃貸用・売却用などを除いた「管理されていない住宅(その他住宅)」を対象に、市が現地調査で確認した実数です。調査の対象範囲と方法がそもそも違います。
地区によって、空き家の状況はかなり違う
島田市が令和6年度に実施した独自の実態調査(戸建て・併用住宅を対象に、公道から外観を目視で確認)では、市内で944戸の空き家が確認されています。地区別の内訳は次の通りです。
| 地区 | 確認された空き家数 |
|---|---|
| 旧市内 | 316戸 |
| 金谷 | 212戸 |
| 川根 | 136戸 |
| 初倉 | 79戸 |
| 大長 | 71戸 |
| 伊久身 | 62戸 |
| 六合 | 49戸 |
| 大津 | 19戸 |
これは地区ごとの空き家「率」ではなく実数なので、人口・世帯数の多い旧市内や金谷で戸数が多くなるのは自然なことです。数の多さと深刻さは別物で、この点は調査結果の見方として注目したいところです。
市はこの調査で、空き家を状態別にA〜Eの5段階(Aが最も軽微、Eが最も深刻)に分類しています。地区別に見ると、比較的状態の良いAランクの割合が高いのは初倉(63.3%)、六合(59.2%)、旧市内(50.0%)です。一方、倒壊の危険性がある深刻なD・Eランクの割合が高いのは伊久身(19.4%)、金谷(16.0%)でした。
周囲への影響も調査されています
市は建物そのものの傷みだけでなく、倒壊した場合に道路や隣家へどの程度影響するかも調べています。944戸のうち611戸(約65%)は、倒壊した場合に周囲への影響や危険性が高いと判定されました。ただし、これは611戸すべてが今すぐ倒壊しかねないという意味ではありません。不良度が高いD・Eランクで、なおかつ周囲への影響も大きいとされた空き家は28戸で、市はここを優先的に対応する対象としています。同じ島田市内でも、地区や物件によって建物の状態や周囲への影響には差があります。
空き家の所有者は、何に困っているのか
市は令和6年12月から令和7年1月にかけて、所有者を特定できた空き家800戸を対象にアンケートを行い、401件の有効回答を得ています。以下では、そのうち「管理されていない住宅(その他住宅)」と回答した213件を対象とした集計を見ていきます。
10年以上使われていない空き家が62.4%を占めています。空き家になったきっかけは「居住者の死亡・施設入所・入院」が43.7%、「転居・転勤」が25.8%でした。建物の状態については、「大規模修繕が必要」または「使用不可」とされた建物が合わせて61.1%でした。
今後の意向については、「売却したい・しても良い」が38.5%と最も多く、「解体したい」も18.3%ありました。困りごとを見ると、「解体費用が出せない」(23.0%)と「維持管理の費用が大きい」(7.0%)を合わせた費用面の課題が全体の3割を占めており、これとは別に「買い手が見つからない」(19.7%)という声も上位に挙がっています。市への要望も「解体補助の充実」が29.1%でトップでした。解体費用の負担と買い手探しが、空き家をどうするか考えるうえで現実的な課題として表れています。
島田市の空き家を考えるうえで知っておきたい地域差
島田市は大井川の流域に広がる街で、江戸時代には東海道五十三次23番目の宿場「島田宿」として栄えました。平成17年・平成20年の合併を経て、旧島田市・旧金谷町・旧川根町が一つになり、現在の島田市になっています。
市の資料では、市内を6つの地域に分けて特性を整理しています。川根は市内で最も人口減少が進んでいる地域、伊久身・大長はそれに次いで人口減少が進む地域で、いずれも中山間地域にあたります。金谷は新東名高速道路・国道1号・国道473号が交わる広域交通網の要衝です。旧市内・大津は島田駅や市役所、総合医療センターなど都市機能が集積する市の中心部です。六合は市内で唯一、人口増加が見られる地域で、初倉は東名高速道路の吉田インターチェンジや富士山静岡空港に接するエリアです。
同じ「島田市の空き家」でも、都市機能が集積する旧市内の戸建てと、人口減少が進む川根や伊久身の中山間地域にある古家では、売却・賃貸・管理いずれの考え方も変わってきます。
まとめ
島田市全体の空き家率だけを見て、「売れる」「貸せない」と判断することはできません。旧市内・金谷・川根などで空き家の状態や地域性が異なり、建物の状態や立地によって取れる選択肢も変わってきます。
vol.2では売却・賃貸・解体の具体的な選択肢を比較し、vol.3では空き家の活用方法4選を解説しています。島田市の空き家についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

