静岡県中部では、東静岡のアリーナ整備だけでなく、牧之原市IC北側の大規模複合開発、静波海岸のリゾート開発など、複数の大型開発・整備計画が同時に動いています。この記事では、自治体や事業者の公式資料を中心に、必要に応じて報道も参照しながら、2026年10月時点の各計画の進捗を整理します。
結論からいうと、これらの計画が周辺の空き家に与える影響は、計画からの距離や物件の立地・状態によって変わります。「再開発があるから一律に有利」という単純な話ではありません。計画の中身を押さえたうえで、自分の物件にどう関係しそうかを考える材料として読んでいただければと思います。
3つの計画を一覧で整理
| 計画名 | 場所 | 内容 | 進捗 | 予定時期 |
|---|---|---|---|---|
| 静岡市アリーナ整備・運営事業 | 静岡市 JR東静岡駅北口 | 多目的アリーナ(メインアリーナ約1万席) | 特定事業契約締結(2026年7月9日)、設計・建設段階へ | 2030年4月運営開始予定 |
| (仮称)MAKINOHARA HILLS PROJECT | 牧之原市 相良牧之原IC北側 | 商業・ホテル・産業物流・戸建住宅の複合開発(約17.1万㎡) | 造成完了、戸建区画は着工済み(2025年12月〜) | 2030年冬頃完成予定 |
| 静波海岸リゾート開発 | 牧之原市 静波(静波サーフスタジアム西側) | 温浴施設・飲食店の複合施設、海浜公園、既存ホテルの改修 | 令和8年度施政方針で事業方針を明記、2026年度は実施設計 | 2029年春頃完成目標 |
この一覧は、各事業の公式発表や報道をもとにした2026年10月時点の情報です。予定は変更される可能性があるため、具体的な判断の前に最新情報を確認することをおすすめします。
静岡市アリーナ整備・運営事業(東静岡)
静岡市がJR東静岡駅北口の市有地(約2万9,000㎡)に整備する多目的アリーナです。静岡市は2026年2月に、NTTドコモを代表企業とする「The Shizuoka Alliance」を落札者として選定しました。その後、3月31日に基本協定を締結し、同グループが設立した株式会社静岡セントラルアリーナと、7月9日に特定事業契約を締結しています。設計・建設期間は2026年7月から2029年12月まで、2030年4月の運営開始を予定しています。
事業方式はPFI(BT+コンセッション方式)で、民間が建設・運営し、市が施設を所有します。特定事業契約の契約金額は300億円です。また、落札者決定時の事業者提案では、市に支払う運営権対価として約63億6,000万円が示されています。メインアリーナは約1万席、サブアリーナは約200席を想定し、プロスポーツの試合やコンサートなどに使われる施設として計画されています。
また、アリーナ単体の整備だけではありません。静岡市は2026年9月11日、JR東静岡駅とアリーナをつなぐ公共通路等と民間施設を一体的に整備する「東静岡地区市有地民間活用事業」の募集要項を公表しています。東静岡駅周辺では、アリーナを核にした周辺市有地の活用も具体化しつつあります。
契約・事業者提案で確認できる事項:事業者(The Shizuoka Alliance、特別目的会社は株式会社静岡セントラルアリーナ)の選定・契約締結、特定事業契約の契約金額(300億円)、事業者提案による運営権対価(約63億6,000万円)、設計・建設期間(2026年7月〜2029年12月)、運営開始目標(2030年4月)、東静岡地区市有地民間活用事業の募集要項公表(2026年9月11日)
まだ見込みの段階の事項:開業後の人流・商業活性化の規模、周辺地価・賃貸需要への影響。これらは契約や着工とは別に、実際の開業後に確認されるものです。
(仮称)MAKINOHARA HILLS PROJECT(牧之原市IC北側)
大和ハウス工業が、牧之原市IC北側土地区画整理事業の保留地等(約17万1,437㎡)を取得して進める複合開発です。建物用途は商業施設・ホテル・産業物流施設・戸建住宅とされ、商業施設区画(2区画)、産業・物流施設区画、戸建住宅区画の全4区画で構成されます。この土地区画整理事業は、牧之原市IC北側土地区画整理組合(2023年1月設立)が施行者です。組合による造成工事は2025年9月に完了し、同年12月に保留地が大和ハウス工業へ売却され、戸建住宅区画は同月から着工しています。商業施設区画は2027年冬頃、産業・物流施設区画は2028年春頃に着工予定で、全体の完成は2030年冬頃を予定しています。
立地としては、東名高速道路「相良牧之原IC」から約300m、富士山静岡空港まで約8km、御前崎港まで約20kmで、高速道路・空港・港に近い場所です。
確定している事項:事業用地の取得・造成完了、建物用途(商業・ホテル・産業物流・戸建住宅)、戸建住宅区画の着工、商業・産業物流施設区画の着工予定時期
現時点で未確定の事項:商業施設やホテルの具体的な事業者・ブランド・テナント構成
静波海岸リゾート開発(牧之原市)
牧之原市と民間事業者が、静波サーフスタジアム西側の約5万㎡で進めるリゾート開発です。温浴施設や飲食店を備えた3階建ての複合施設、スケートボード場や商業スペースを含む海浜公園を新設し、既存ホテルを全面的にリノベーションする計画です。牧之原市は令和8年度施政方針で、民間が行う温浴・飲食・宿泊・移動観光などの整備と、市が行うスケートボード施設・公園施設の整備をあわせて、3カ年で総額約60億円の公民連携事業として進める方針を示しています。2026年度に実施設計を行い、2027年度以降に施設整備を進め、2029年春頃の完成を目指しています。
牧之原市は、2021年に開業した静波サーフスタジアムを核に、サーフィンと相性の良い機能を複合したエリアづくりを進めています。あわせて、海水浴場の来場者減少や夏季以外の集客を課題としており、静波地区を年間を通して人が訪れる「通年型」のエリアへ転換する方針を示しています。
空き家・不動産への影響をどう考えるか
こうした再開発は、完成後に周辺の人の流れや商業活動が変わる可能性がある一方、「計画があるから周辺の不動産が一律に値上がりする」と言えるものではありません。影響の大きさは、主に次のような条件によって変わります。
- 開発地からの距離・アクセスのしやすさ
- 最寄り駅やバス停からの距離、道路の接道状況
- 建物自体の状態(築年数、修繕履歴、傾き・雨漏りの有無など)
- 周辺エリアの実際の成約事例・募集状況
- 用途地域や都市計画上の制限
東静岡アリーナは特定事業契約まで進み、開業時期が具体的になってきていますが、運営開始は2030年4月でまだ数年先です。牧之原市IC北側では戸建住宅区画の着工まで進んでいます。一方、静波地区は2026年度に実施設計を行い、2027年度以降の施設整備へ進む予定の段階です。いずれも、周辺の個別物件への影響は立地や建物の状態次第で異なります。
所有者として確認しておきたいこと
再開発のニュースを見て「自分の物件はどうなるだろう」と考えたときに、まず確認しておきたいのは次のような点です。
- 物件が各開発地からどのくらいの距離にあるか
- 現在の建物の状態(傾き・雨漏り・設備の老朽化など)
- 接道状況や境界が確定しているか
- 今後かかりそうな修繕費・解体費の見込み
- 固定資産税・管理費など、保有を続けた場合の維持コスト
- 家族の中で、売る・貸す・残すについて意見がまとまっているか
これらを整理したうえで、売却・賃貸活用・管理のどれが合いそうかを考えると、判断がしやすくなります。
売却・賃貸・管理、どれを検討するか
方向性がまだ決まっていない場合は、次のような選択肢があります。
売却を検討する場合
物件の立地・状態を踏まえた査定を受けてみないと、実際の金額は分かりません。売却・買取のページで進め方を紹介しています。
賃貸として活かす場合
手放さずに貸し出す方法です。賃貸活用のページで詳しく紹介しています。
すぐに決められない場合
売る・貸すをまだ決められない場合は、状態を維持しながら考える方法もあります。空き家管理のページをご覧ください。
静岡県全体の再開発については「静岡の再開発情報まとめ」で紹介しています。
まとめ
静岡県中部では、東静岡のアリーナ整備、牧之原市IC北側の複合開発、静波海岸のリゾート開発と、性格の異なる再開発が同時に進んでいます。いずれも完成はまだ先ですが、契約締結や着工など、計画が具体化してきている段階です。
こうした計画が自分の空き家にどう関係するかは、立地や建物の状態によって変わります。再開発のニュースだけで売却や活用のタイミングを決めるのではなく、物件自体の状態を確認したうえで考えることをおすすめします。
この記事の出典・確認日
- 静岡市アリーナ整備・運営事業:静岡市公式サイト公表資料(落札者選定、特定事業契約締結内容)、NTTドコモ発表資料。確認日:2026年10月12日
- 東静岡地区市有地民間活用事業:静岡市公式サイト(事業者募集ページ、募集要項)。確認日:2026年10月12日
- (仮称)MAKINOHARA HILLS PROJECT:大和ハウス工業公式プレスリリース「(仮称)MAKINOHARA HILLS PROJECT~地域との共生・賑わい場の創出計画~」、牧之原市公式サイト。確認日:2026年10月12日
- 静波海岸リゾート開発:牧之原市公式サイト「令和8年度 施政方針」、静岡新聞DIGITAL「静波海岸でリゾート開発へ」(2026年2月17日付)。確認日:2026年10月12日

