静岡県藤枝市で空き家について調べている方に向けて、このシリーズでは藤枝市の空き家の実態と、売却・賃貸・解体・活用の選択肢を整理していきます。vol.1となる今回は、まず藤枝市の人口や高齢化の状況、空き家がどれくらいあるのか、地区によってどう違うのかを、公表されているデータをもとに押さえます。
藤枝市の人口・高齢化の状況
藤枝市の人口・高齢化
国勢調査では2015年の143,605人から2020年には141,342人へ減少しています。
藤枝市の空家等対策計画では、将来推計として令和42年(2060年)に人口110,408人(現在のおよそ8割)、高齢化率は令和32年(2050年)に38.2%でピークを迎えると見込んでいます。
藤枝市の空き家、どれくらいある?
住宅・土地統計調査ベース(令和5年)
全国平均13.8%、静岡県平均16.7%より低く、静岡県内でも最も低い水準です。平成30年(2018年)の11.8%から5年間で1.9ポイント低下しました。
※藤枝市は平成21年1月1日に旧岡部町を編入しており、それより前のデータは現在の市域と単純には比較できません。このため、ここでは合併後の期間にあたる平成30年と令和5年を比較しています。
一方で、空き家のうち、賃貸・売却用など明確な利用目的のない「その他の住宅」の割合は、平成30年の45.8%(3,200戸)から令和5年には60.3%(3,610戸)まで上昇しています。空き家率そのものは下がっていても、そのうち利用目的のない住宅の割合はむしろ増えている、というのが実態です。
地区によって、空き家の状況はかなり違う
令和2年度の調査で確認された540戸の空き家は、令和7年3月31日時点で336戸まで減少しており、204戸減っています。一方、令和6年度に改めて市内全域を調査したところ、640戸の一戸建て空き家が確認されました。既存の空き家が減少する一方、市全体では引き続き多くの空き家が確認されている状況です。
| 地区 | 確認された空き家数 | 前回(令和2年度) |
|---|---|---|
| 藤枝 | 127戸 | 96戸 |
| 青島 | 120戸 | 91戸 |
| 岡部 | 105戸 | 99戸 |
| 葉梨 | 80戸 | — |
| 高洲 | 60戸 | — |
| 西益津 | 41戸 | — |
| 瀬戸谷 | 36戸 | — |
| 広幡 | 36戸 | — |
| 大洲 | 21戸 | — |
| 稲葉 | 14戸 | — |
藤枝地区・青島地区・岡部地区で確認された空き家の戸数が多くなっています。
藤枝市の空き家所有者は、今後どうしたいと考えている?
市が実施した「建物利活用調査」(令和6年度実態調査・令和7年2月集計、640戸に送付、回答242戸・回答率38%)からは、いくつかの傾向が見えてきます。
空き家になった理由は「居住者の死亡・施設入所/入院」が47%(114戸)と最も多く、「転居」22%(53戸)、「賃借人の転居」12%(28戸)と続きます。今後の意向については「売却希望」が34%(82戸)で最多、「未定」20%(48戸)、「解体希望」17%(42戸)、「賃貸希望」6%(13戸)でした。行政への要望でもっとも多かったのは「解体補助制度の充実」で26%(63戸)です。
藤枝市が進めている空き家対策と支援制度
藤枝市には、空き家の解体・活用を後押しするいくつかの制度があります。
解体・除却の補助
対象となる空き家(木造で、昭和56年5月31日以前に建築され、耐震診断で倒壊の危険性があると判断されたものなど)の解体費について、23%・上限30万円の補助があります。相続により空き家を取得した方が、被相続人の死亡日から3年以内に解体を完了する場合や、敷地が道路に接していない、狭い道路にしか接せず重機が使えず手作業での解体が必要な場合などは、上限が50万円に引き上げられます。2026年10月現在、市は予算残額が少なくなっていると案内しています。
あわせて、この補助を利用して解体し、それまで住宅用地特例が適用されていた土地については、市税の滞納がないことなどを条件に、固定資産税・都市計画税を80%、最長3年間減免する制度があります。
空き家バンクを通じた移転・改修の補助
「まちなか空き家バンク」に登録された物件を取得・改修する場合や、市外から藤枝市へ移転する場合の費用の一部を助成する制度があります。中山間地域には別枠で「中山間地域空き家バンク」があり、登録物件の改修費用を助成する制度も用意されています。
空き家の実態把握
令和2年度の実態調査では、住所情報や建物位置情報、水道の使用状況などから空き家の候補を抽出し、現地調査・利活用調査につなげる手法が取られました。
民間との連携
空家等管理活用支援法人として市内の不動産業者3者が指定されているほか、「藤枝市空き家ゼロにサポーター」として民間39者(令和7年9月30日時点)が登録されています。内訳は不動産業11者、建築業7者、解体業3者、司法書士事務所1者、行政書士事務所1者、金融機関2者、その他14者です。当サイトを運営する「静岡空き家総合サービス」も、藤枝市の「空き家ゼロにサポーター」に登録されており、藤枝市内の空き家相談に対応しています。
藤枝市はどんな街か
藤枝市は江戸時代の東海道五十三次「藤枝宿」として栄えた宿場町で、現在は「サッカーのまち」としても知られています。静岡駅・島田駅のほぼ中間に位置し、JR藤枝駅周辺では再開発が進んでいます。藤枝駅周辺の再開発や市街化調整区域の制限については、vol.2で詳しく取り上げています。
まとめ
藤枝市の空き家率は9.9%(令和5年)と県内最小水準まで下がっている一方、利用目的のない「その他の住宅」の割合は上昇しており、地区によっても状況は異なります。所有者調査では売却や解体の意向が多く、藤枝市の解体補助や、市独自の固定資産税・都市計画税減免といった制度も用意されています。
vol.2では藤枝駅前の再開発や市街化調整区域の注意点を、vol.3では相続した空き家をどう進めるかを取り上げています。藤枝市の空き家についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

